社会
孤独には慣れていた。 しかし、このところ妙に胸がざわざわとする。 それは恐らく、まだ業界に中途半端に足を突っ込んでいるからだろう。 もう業界から手を引きたい。そんな風に思うのだが、中々それが出来ない。 未練などはないつもりだが……。 本当に新しい…
子供の頃には親の事情で人生が変わる。 小学校の頃は転校が多く、延べ4つの小学校に通う事になった。転校の度に自分の環境、友人関係などは大きく変わった。その経験がその後の人生にどんな影響を与えたのかは良く判らないが、3年から5年周期で人生は変わ…
「思い出補正」などという言葉がある。 誰が言い出したのか知らないが、昔観た作品や体験した出来事が、自分の中で必要以上に高く評価されてしまう事を言うらしい。実際はそれほどの事でもないのに、思い出によって補正されているという訳だ。 昔好きだった…
携帯電話とインターネットのなかった頃に戻りたい。 以前よく言っていた言葉だ。 正直、今でもそう思う事がある。 便利になったことは確かだ。私もその恩恵にあずかっている。しかし、煩わしくなったことも事実だ。 「人とつながっていたい」という欲求も判…
黒澤明の『生きる』のリメイク、『生きる Living』を観た。 はっきり言ってガッカリした。 『生きる』はこれまでにも何度もリメイクの噂があった。アメリカのスコセッシ監督がリメイクを考えているという話も聞いた。黒澤監督がご存命の頃から、リメイクの噂…
好きな人に好きだと言うのは難しいが、嫌いな人に嫌いだというのは、もっと難しい気がする。 相手は昔の同級生で、同級生である事は確かだが、大した思い出もなく、友達だと思ったこともない。しかし同級生=友達と思う人もいるようで、彼がまさにそんな感じ…
高層ビルの下を歩いてたら、前を行く人たちがある地点に来ると進路を急に変える。 何だろうと思って、その地点まで来ると、道の真ん中にネズミの死骸が……。 思わずそれをよけて通り過ぎた。 数歩過ぎたところで立ち止まった。 少年の日の記憶がフラッシュバ…
バースデイライブをやった。 ほぼ満席。 思ったよりも多くの人が来てくれたのは嬉しかったが、複雑な思いもある。 「元気ですね」と言われたり、「あと10年は大丈夫だよ」などと励まされたりする。 それはそれで有難いのだが、その言葉の裏側には、「もうそ…
ギターを弾くホームレスがいた。 珍しく、まだ若い男のようだった。 腰まである長い髪に、ニット帽をかぶっていた。 最初の頃は毎日の様に弾いていたが、 次第に弾かずに寝ている事が多くなった。 ある晴れた日、久しぶりに彼のギターが聞こえた。 別に上手…
母の遺品を整理していたら、父が定年退職した時に会社の部下や同僚からもらった色紙が出て来た。 「先輩、また飲みましょう」「今度またゴルフに誘います」「たまには会社に顔を出して下さい」そんな言葉が書き込まれている。中には「不倫の相手はあたしで」…
「壊れてないなら修理はするな」というのは確かイギリスのことわざだったと思う。 最初に耳にした時には意味が判らなかった。 よく考えると大きく頷く事ばかりだ。 「上手く行っている物事を、より上手くいく様に手直しすると、かえってダメにしてしまう事が…
人生を変える最も簡単な方法は「引っ越し」である。 と誰かが言っていた。 大学を卒業して実家を出たのが四十年前。 その時から今までに7回引っ越しをしている。 確かにその度に大きな変化があった。 新しい生活があり、 新しい刺激があり、 新しい出会いが…
自由でいたいと思っても いつも何かに縛られている 社会や世間のせいではなく 自分自身に縛られている 過去は忘れたと言いながら 昔の写真を捨てられない 楽しい思い出ばかりじゃないのに 昔の記憶に縛られている 誰かを欲しいと言いながら 人に会うのを恐れ…
同調圧力という言葉はどこから来たのだろう。 英語だとピア・プレッシャー(peer pressure)と言うらしい。 これに誰かが日本語を当てはめたと考えるのが妥当だろう。 この手の用語は外国から来る事が多い。 ハラスメントやルッキズムもそうだ。 日本に来る…
教師という人種が嫌いだった。 人種という言葉で一括りにしては悪いかもしれないが。 何か共通して嫌なものを持っている。そんな気がしていた。 教師に嫌われていた訳ではない。 どちらかと言うと好かれていた。 贔屓にされたこともある。 こちらから愛想良…
「一人ぼっちは孤独じゃない」と何処かの女優が言ったとか……。 彼女の言いたいことには概ね賛成だけど、その言葉には「孤独=悪い事」みたいな前提を感じる。 「孤独はそんなに悪い事じゃない」 自分としては、こういう言い方の方がしっくりくる。 入園直前…
昔の写真をごっそりと捨てた。 なんだかスッキリした。 卒業アルバムや成績表はとうの昔に捨ててしまったが、あの時と同じ、いやそれ以上の解放感がある。不思議なものである。 震災などの時、思い出の品が消えて悲しむ人もいるが、それを機に生活が一変し、…
思えば子供の頃から心の中に怒りがあった。 世間に対する怒り。学校に対する怒り。家族に対する怒り。そして自分に対する怒り。 それをどうコントロールするか、それが大事だった。 特に小学校中学校の頃は、それが日々のテーマだった。 いや、その頃はコン…
パキスタン映画『娘よ』を見る。 争っている部族が、その和解の為に相手の首長とまだ10代の娘を結婚させる話。 そんな子供と結婚したがる部族の男の醜さよ。そしてそれを認めてしまう父親もまた、15歳の妻を娶っているという救いのなさ。 部族の誇りだかなん…
『禁じられた歌声』という映画を観た。 2014年の公開されたこの映画を知らなかった。 イスラム過激派に占拠された西アフリカのマリ共和国ティンブクトゥの話。 イスラム過激派の支配は厳しく、女性は肌を見せてはいけない。靴下と手袋をしなくてはいけない。…