「鍛え抜かれた肉体」という物にあまり興味が湧かない。
「人間の限界に挑む」などと聞くと、ため息が出てしまう。
「人間はもっといい加減でいいんじゃないのか?」と思ってしまう。
真実を突き詰めたり、科学の限界に挑んだり、その結果、人間は幸せになれたんだろうか?
その結果、生み出されたものが、原爆や化学兵器だったりもする。
冒険の旅に出た結果、植民地が生まれたり、差別が生まれたりする。
ついでに言えば、バックパッカーという奴が好きになれない。
多くの場合、それは文明の進んだ国の人間が、未開の地を歩くことだ。
そこには何か密かな優越感のような物を感じる。
そして世界を見たような気になって、家に帰る。
結局、帰るのだから、行かなくても良い。
そんな風にも感じる。
「井の中の蛙、大海を知らず」という諺がある。
その言葉が日本に渡った時、後の句を考えた人がいるらしい。
「……されど空の青さを知る」
このエピソードが好きだ。
蛙は空を見上げ続ける。そして、空の青さの本当の意味を知る。
冒険者たちが気づかない、本当の意味を……。