母の納骨は無事に終わった。
立ち会ったのは、僧侶の他に私一人。
最初に一周忌の法要があり、僧侶が般若心経に続き、いくつかのお経を唱えてくれた。
般若心経は経本を貸してもらって、私も一緒に声を出した。
母は般若心経が好きだった。
一時期、写経に凝っていて、私にも送ってきた事がある。
僧侶の声は良く響き、本堂の高い天井に届き、私の心にゆっくりと降りてきた。
その後、墓地に出向き、母の骨壺をカロート内に収めた。
墓誌には、石材店に頼んでおいた母の戒名が、既に刻まれてあった。
祖父、祖母、父が既に埋葬されている。
そこに母も加わった。
僧侶が再びお経を唱え、私が焼香をして、納骨は終わった。
その後、今後の墓の管理について僧侶と話をし、予定の全ては終わった。
私はもう一度墓の前に戻り、母の遺影を抱いて、セルフタイマーで写真を撮った。
家を出た時に降っていた雨は止み、青空が顔を出していた。